ユーロ/円相場は、前週は124~126円のレンジで揉み合う展開となったが、週明け後は122~124円水準までレンジを切り上げている。週末にユーロ圏財務相会合がキプロスに100億ユーロの支援を行うことをで合意したが、その条件に銀行預金への課税という異例の措置が盛り込まれたことが材料視され、ユーロの上値が重くなっている。
キプロスは10万ユーロ未満の銀行預金に6.75%、10万ユーロ以下の銀行預金に9.90%の課税を受け入れた。ユーロからの支援がなければ同国の銀行破たんが確実視される中、支援国側から預金者にも一定の負担をもとめるべきとの声が高まっていたことに応じたものである。ただ、ユーロ当局者はこの決定がマーケットで債務危機の再発につながりかねないとの懸念を呼び起こすとは考えていなかった模様であり、ここにきて預金課税を高額預金者に限定して、かわりに税率を引き上げる案などが検討されている。銀行預金課税の方向性そのものは修正されない模様だが、週明けの欧州債や欧米株式相場はパニック的な反応を回避していることで、欧州リスクを本格的に織り込むまでの展開には発展していない。ここで欧州債務危機が本格的に蒸し返されると、欧州中央銀行(ECB)の追加緩和観測などからユーロ安が加速する可能性もあったが、現段階ではそこまでのリスクは顕在化していない。
一方、円サイドは次期日銀総裁人事が確定し、あとは実際にどのような緩和策が導入されるのかを見極めるステージになる。臨時総会開催の可能性も警戒される中、円サイドからユーロ安・円高が進むリスクは限定的だろう。このまま欧州債務リスクの本格的な蒸し返しが見送られるのであれば、改めてユーロ買い・円売りを仕掛ける好機になる見通し。
今後1週間の予想レンジは、121.00~126.00円。